EU・英国へ日本食品輸出する商品を選ぶ際に重要な輸入規制について、日本貿易振興機構(JETRO)や農林水産省が提供する資料を基に考察していきます。一部異なるルールもありますが、概ね英国はEUの規制と同様です。
加工食品の分類と規制
EUに食品を輸入する際、商品カテゴリによって規制が異なります。
動物性原料の使用有無で難易度が大きく変わり、大きく動物性食品、植物性食品、混合食品の3パターンに分類されます。JETROが以下のYoutube動画で解説をしています。
動物性食品の輸入規制
動物性原料を含む食品を輸出するには、以下の要件を満たす必要があります。
国の要件
原材料(乳、卵、水産物など)ごとに、EUが輸入を許可する国のリストを定めています。日本がその品目において「EUへ輸出してよい国」としてリストに掲載されていることが第一条件です。
また、輸出国の政府が、動物性原材料に含まれる残留農薬、動物用医薬品、重金属などを適切に検査・管理する計画(モニタリング計画)をEUに提示し、承認されている必要があります。
JETROが以下の通りまとめています。

これらの規制を変更するには国としての取り組みが必要であるため、事業者としては該当有無を確認の上、輸出できる商品を選択する必要があります。
事業者の要件
製品に動物性原材料(魚介エキス、粉乳、卵粉など)を使用している場合、日本の厚生労働省や農林水産省等の当局によって、EUの衛生基準(HACCP等)を満たしていると認定され、EUやUKの「認定施設リスト」に登録されている工場で製造されたものでなければなりません。最終製品を製造する工場は登録されている必要はありません。
UKはEUが管理するリストを前提としているため、EU HACCP認定施設で製造されていれば、基本的にはイギリスの承認リストにも掲載されています。
植物性食品の輸入規制
未加工の植物性食品は植物検疫が必要になる場合があります。例えばお茶や米は不要ですが、青果物は基本的に必要となります。
植物防疫所は、新たな病害虫が植物を通して伝染することを防ぐための機関で、そこに検査依頼をし、安全性の証明書をもらうことが輸出の要件となります。
EU輸出向けの植物検疫必要の有無はこちらに記載されており、早見表が以下の通り作成されています。

混合食品の輸入規制
混合食品は、温度管理が必要か、動物性原料の中でも特に肉を含むかという点で3つに分かれています。

商品に使用する動物性の原材料はEUの認定施設から調達したものを使用する必要があります。輸入した原料を使用する場合も同様です。
農水省やEUが動物性加工済原料を製造するEUのHACCAP認定施設をリストにしており、ここから調達した原料で製造した商品であれば輸出ができます。
原材料を使用して最終製品を製造する施設については、EU認定の取得は必要はありません。
曖昧な場合は、国境管理所(BCP:Border Control Post)というEUの機関が輸入時に判断することになります。
カテゴリーに応じて公的証明書を取得する、または自己宣誓書を作成する必要があります。

公的証明書は肉製品、乳製品、卵製品を含む場合は動物検疫所、水産製品のみの場合は衛生証明書を農水省の輸出・国際局に発行してもらう必要があり、手続きの詳細はこちらに記載されています。

自己宣誓書(Private Attestation)については様式が日本のサイトではこちらのANNEX Vに記載があるとの情報のみで、英国政府が出している様式がわかりやすいです。これは輸入者が国境管理所に提出します。
混合食品の分類
混合食品輸出の際、公的証明書が必要性について品目による具体例が示されており、以下の商品は公的証明書が必要になります。

カテゴリー3に属する中で、①原料の卵製品及び乳製品について、EU 規則に基づく加熱処理がされていること ②ヒトの食用であることが明記されていること ③しっかりと密封されていること、を満たす以下の商品はリスクが低く、自己宣誓書の提出が免除されます。例えば、出汁や味噌などがそれに該当します。

まとめ
EU HACCP認定のある施設から調達した動物性加工済原料で商品を製造するのはややハードルが高く、植物性由来原料のみで製造した商品、または混合食品で自己宣誓書の提出が不要な食品リストに分類されるものが輸出をしやすいことがわかります。

