欧州(EUおよびUK)は2025年時点で約5億人の市場があり、食品の輸出先として魅力的な選択肢です。
商品によっては規制による輸出の可否が分かれ、検査や書類手続きなどが発生します。特に動物由来成分を含む食品には厳格な規制があります。動物由来成分と植物由来成分の両方を含む加工食品を「混合食品(Composite Products)」と呼んでいます。
本マニュアルでは、商品選定の誤り、輸入通関時の貨物の没収、廃棄、Amazonなどの販売アカウント停止といったトラブルを回避し、最短で商品を販売するために必要なことを解説します。
欧州(EUおよびUK)に共通する混合食品のリスク分類
以下の条件を満たすかどうかで、リスクの高さや輸入手続きの煩雑さが決まります。
- 肉成分(肉エキス含む)を一切含まないこと
- 常温で安定して保存できること(冷蔵・冷凍が不要)
- 清潔な容器に安全に包装または密封されていること
全て条件を満たす場合は、UKでは「低リスク」、EUでは「検査免除対象または管理対象外」と分類され、輸入通関時の衛生検査などが免除されます。製造者が商品の内容を説明する商業文書を添付することで通関が許可されます。
UKでは税関への事前通知無しで輸入ができます。EUでは事前通知が必要ですが、これらの中で更に指定された「免除対象となる商品コード一覧」に記載があれば事前通知は不要となります。
混合食品の中に魚介成分が含まれる場合、含有量が20%を超えると、衛生規制とは別に「漁獲証明書(Catch Certificate)」が追加で必要になるため注意が必要です。
UKの混合食品のリスク分類
混合食品の輸入についてはこちらで解説されています。日本を含む非EU諸国からの輸入食品は「高・中・低」の3つのリスクカテゴリを用いて、BTOM(Border Target Operating Model)というフレームワークで管理しており、書類や現物検査の対象となる確率が異なります。
- 高リスク(High Risk): 特定の生体動物や公衆衛生上重大なリスクがある品目。最も厳格な検査と事前通知が義務付けられます。高リスク品目は輸入のたびに検査を実施します(検査率100%)
- 中リスク(Medium Risk): 冷蔵・冷凍品、生鮮品、肉製品などが該当。日本の公的機関が発行するEHCの添付と、IPAFFSでの事前通知が必須です。 1%から30%の割合で検査されます。
- 低リスク(Low Risk): 常温保存可能で肉を含まない複合食品などが該当。輸出衛生証明書(EHC)は不要、IPAFFSでの事前通知も原則不要です。定期検査の対象となりませんが、非定期検査や情報機関主導の検査の対象となる可能性があります。
個別の商品分類とリスクはこちらで確認することができます。CNコードでリスト化されている一部の低リスク分類の商品は検査等の免除規定の対象となります。肉エキスを含まず、加工済みの乳・卵成分が少量含まれる菓子類、または特定の魚だしを含む醤油・味噌などが該当します。
動物性原材料(肉、生乳、生卵等)を一定以上含む高リスクまたは中リスクの食品を輸入する場合、貨物が到着する前に電子システムでの「事前通知」が法的義務となります。
イギリスではIPAFFS(Import of Products、Animals、Food and Feed System)を使用します。
EUの混合食品のリスク分類
EUでは「国ごとのリスク」と「品目ごとの加工度」を組み合わせて判断します。 こちらで詳しく解説されています。
- 検疫対象:肉成分を1%でも含む、または冷蔵・冷凍が必要な複合食品。 日本の公的機関(動物検疫所など)が発行する輸出衛生証明書(EHC:Export Health Certificate)が必須の製品
- 免除対象:肉成分を含まない、常温保存可能、かつ加熱済みの製品。 輸入者が署名する自己宣言書(Private Attestation)が必要です。
- 管理対象外:規則(EU) 2021/630のリストに載っている食品(チョコレート、シリアル、パスタ、ビスケット、特定のスープ調味料など)は衛生規制上の書類(輸出衛生証明書や自己宣誓書)が一切不要です。農水省がこちらでも解説しています。
「管理対象外」のリストに記載が無い場合は、TRACES(Trade Control and Expert System)をEU加盟国への輸入時に使用し、輸入をBCP(国境管理所)に事前通知します。
通知には日本政府が発行した「輸出衛生証明書(EHC)」のデータアップロードが必要です。これが遅れると通関で商品が止まるリスクが生じます。

