欧州(EUおよびUK)への輸出スキーム、税務(VAT・IOSS)と拡大生産者責任(EPR)に関する手続き

欧州(EUおよびUK)への商品を輸出される際、送り先や販売形態によって必要な税務手続きが変わります。

目次

輸出スキーム

①国際郵便・宅配便による直送(B2C取引) 
この形態は「個人輸入」として扱われます。そのため法人販売に義務付けられる「現地責任者」の設置や、厳格な規制の対象外となるケースが多いです。一部のリスクの高い商品を除き、個人の使用目的であれば、商業的な規制の多くを免除された状態で配送が可能です。しかし、発送量が多い場合やリスクの高い商品に関しては細かく検査される可能性もあります。

②輸入商社や小売店やへの卸売(B2B取引) 
商品の買い手である現地企業が「輸入者(IOR)」および「現地責任者」の役割を担います。通関手続きの実行はもちろん、ラベルの法的適合性の確認や、万が一不備があった際の現地での対応は買い手側の責任と判断で行われます。基本的には日本の輸出者は買い手が求める要件に従って出荷するだけで済みます。

③現地倉庫を活用した自社販売(B2B2C取引)
Amazon FBAや3PL倉庫の場所を借りて消費者向けに販売する取引形態です。DDP(Delivered Duty Paid)という配送方法で日本企業が自ら輸入者となりますが「現地責任者」の設置が必要です。輸入者が決まっているB2B取引とは異なり、倉庫側が通関時の商品説明や書類不備等に対応しないため、基準を満たさない貨物は受領拒否や返送というリスクがあります。一度責任者の住所に送って検品をしてから倉庫への納品する場合と、 責任者は名前と住所を貸すだけの場合があります。

税務申告に関する手続き(VAT・IOSS)

現地に買い手である輸入商社や小売店がいて、B2B取引を行う場合は細かい税務手続きは不要です。しかし、直送(B2C取引) や現地倉庫を活用した自社販売(B2B2C取引)の場合は手続きが必要です。

直送(B2C取引) に必要な手続き

UKでは135ポンド、EUでは150ユーロを超える取引の場合は輸入時に関税と消費税(VAT)の支払い義務が生じます。それ以下の取引額では関税は免除され、消費税(VAT)のみが発生します。

B2B取引の場合はこれらに理解があることが多く、関税やVATを買い手が負担しても取引が成立しますが、B2C取引の場合は商品が届く際に請求されるため、返品のリスクが高まります。そのため販売者が事前に消費税(VAT)を計算して徴収することが多いです。

そのためには、販売者は販売先各国のVAT番号(納税者番号)を取得し、受け取りや支払いをしたVATを政府に定期報告し、消費税を納税する必要があります。EUではIOSS(Import One Stop Shop)番号という制度があります。これを取得すると販売先各国でVAT番号を取得しなくても、EU域内の国、全てに適用ができます。

Amazonなどのプラットフォームを通じて販売する場合、AmazonがすでにIOSS番号を持っており、VATを徴収しており、自社には税抜売上が振り込まれるためこれらの番号取得や政府への申告は不要です。

輸出の際はVAT番号やIOSS番号をインボイスに記載して出荷すると、販売時にVATを徴収したことを示せるため、受取時に追加でVATを払う必要がなくなります。

現地倉庫を活用した自社販売(B2B2C取引)に必要な手続き

現地倉庫を利用して消費者に販売をする場合、現地倉庫は商品を購入する訳ではないためこれらを輸出者で負担することになります。

通関の際にEORI番号(輸出入業者識別番号)が必要になります。これはVAT番号を取得すると自動的に付与されます。EORI番号に基づいてどれだけの消費税(VAT)の支払ったかが政府のデータベースに記録されます。EORIはUKとEUで取る必要があり、EUでは1カ国で登録があればEU全域に利用ができます。VAT番号は各国で取得する必要があります。

商品をAmazonなどのプラットフォームで販売する場合、販売時にAmazonがVATを徴収、輸入時に自社でVAT支払いと重複し、同じ商品に二度税金がかかってしまいます。これを解消するために、輸入時に先払いしたVATを政府に報告することで還付を受けることができます。

拡大生産者責任(EPR)に関する手続き

拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)とは、環境負荷の観点で生産者の製品に関する責任が製品の製造や使用段階だけでなく、廃棄やリサイクル段階にまで拡大するという考え方です。

ドイツでは「LUCID」、フランスは「UIN」などの番号を取得し、使用する「紙・プラスチック・金属」などの重さに応じてリサイクル費用が発生します。民間のリサイクル業者などで番号の取得や支払いを行います。これらの番号取得がAmazonやEbay等のプラットフォーム出品の必須要件になっている場合があります。

これまでは各国の国内法でそれぞれ管理されていた制度が、今後はPPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)というルールで統一されます。2026年8月より新制度が施行され、有害物質の制限、過剰梱包の禁止、共通のリサイクルラベルの導入などが行われます。2030年にはすべての梱包材をリサイクル可能にする義務や使い捨てプラスチック梱包の一部禁止などより厳格なルールが適用されます。

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